アナログ人間の独り言~阪神タイガース・映画・サブカルチャー・旅行等々
テレビドラマから舞台劇に至るまで喜劇を得意とし、特にホームドラマ・コメディにおいては他の追随を許さない名脚本家でした。

ラジオドラマ黎明期に当時のニッポン放送に入社。
その後に開局したフジテレビのドラマで書いた脚本で注目され、脚本家として歩み出します。
映画なら東宝のクレージー映画、ドラマなら西田敏行の「池中玄太80キロ」が一般的には最も有名なのではないでしょうか?
しかし私はやはりその代表作は、当時日本テレビの関連会社だった「ユニオン映画」製作による一連の「石立鉄男ドラマ」だったのではないかと思います。

「おひかえあそばせ」
「気になる嫁さん」
「パパと呼ばないで」
「雑居時代」
「水もれ甲介」
「気まぐれ天使」
「気まぐれ本格派」…
どれもが松木ひろし氏がメインライターを務めた名作ばかりです。
私の小学生時代には読売テレビの夕方で、今のチャンネルNECOの様なエンドレス状態で再放送が繰り返されており、高校時分には朝日放送で、大学時代にはサンテレビやKBS京都といった地上波での再放送がされていました。
特に子供の頃は、「おひかえあそばせ」とその事実上のリメイクである「雑居時代」が大好きで、漫画の様に判りやすいシチュエーションとキャラクターが、他のコメディードラマよりも魅力的に感じたものでした。

しかし歳を経るにつれ、松木脚本による最高傑作は「パパと呼ばないで」ではないかと思う様になります。
松木氏は「パパと呼ばないで」では第一話と二話を担当する所謂パイロットを務めましたが、全40話中担当したのは5話分のみ。
どちらかと言えば14話分を執筆した向田邦子氏や12話分担当した窪田篤人氏の活躍の方が目立ち、特に他の「石立ドラマ」にはあまり見られないホームドラマ特有のしっとりとした「泣かせ」等、向田脚本のカラーに大きく影響されたシリーズだったのではと思います。
更には松木・向田・窪田氏らが参加していた創作集団「葉村彰子」ペンネームによる脚本が、山本邦彦氏との共同を含めて9話分もあり、これも加えると向田氏は半分以上の脚本を、松木氏も相当話数のエピソードに関わっていた事になります。
「葉村彰子」名義の脚本は、その後も「石立ドラマ」に参加を続け、窪田脚本も重要な柱となって行きました。
非現実的なコメディ色が強かった松木脚本に対し、よりリアルな人間ドラマを目指したのがこの「パパと呼ばないで」だったのかも知れません。

松木脚本ではありませんが、「パパと呼ばないで」の最も好きなエピソードに、第17話「発車オーライ!」(窪田篤人脚本)があります。
この中で大坂志郎が自転車の荷台に杉田かおるを乗せてトボトボと佃の街中を歩いて行くシーン。二人の名演技と大野雄二作曲によるBGM選曲の素晴らしさもあり、涙を誘う名シーンとなっています。今時のテレビドラマではこんな風情のある映像はとても期待出来ないでしょうなあ。

石立鉄男ドラマ」の終焉に次いで、「池中玄太80キロ」製作にあたり西田敏行というキャラクターを主役に得た事は、松木氏にとってとても幸運だったと言えるでしょう。
ビデオ撮影になりましたが、そこには「パパと呼ばないで」で描かれた昭和のホームドラマがしっかりと息づいていました。
一方で石坂浩二主演によるSFコメディドラマ「俺はご先祖様」では、相変わらずの荒唐無稽振りを発揮。しかしそこにも「雑居」という松木コメディ独特のテイストはちゃんと存在していました。
また、TBS製作による「シンデレラの財布」での石立鉄男との黄金コンビ復活等、晩年に至るまで精力的に活躍されていました。

「石立ドラマ」をはじめ、現在でも多くの松木作品がCS放送等で観る事が出来ます。
私の様なオールドファンだけでなく、これからも多くのファンを生み続ける事でしょう。
ご冥福をお祈りします。

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【2016/09/21 21:46】 | ドラマ
【タグ】 松木ひろし  石立鉄男  西田敏行  ユニオン映画  
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