アナログ人間の独り言~阪神タイガース・映画・サブカルチャー・旅行等々
本日、109HAT神戸で鑑賞。

1999年、フィリピンの鉱山で大規模な陥没事故が発生、生物学者の芹沢博士はその地底で謎の巨大生物の化石とまだ生きている巨大な卵、そして孵化した卵から巨大な何かが這い出した形跡を発見する。
その直後、日本の雀路羅原子力発電所が謎の崩壊事故を起こし、多くの犠牲者を出して周囲は封鎖され立入禁止となる。
そして現代、雀路羅原発事故で母を失ったフォード・ブロディ海軍大尉は、父が雀路羅の封鎖区域へ侵入して逮捕されたと知らされる。
元原発職員だった父のジョーは原発事故の真相を探る為に日本で生活していたのだ。
フォードは日本へ向かうが、父と共に再び立ち入り禁止区域へ侵入する羽目になる。
ジョーはかつての実家に残されたデータを探していた。
二人はそこで放射線の存在しない原発跡地と巨大な光る繭、そしてそれらを管理する謎の施設と組織を発見する。

アメリカにおける二度目のゴジラ映画の製作です。
今回は舞台の前半が日本であったり、渡辺謙演じる芹沢博士の登場等、作品中で日本の存在感が大きくなっており、製作も東宝サイドから坂野義光氏が参加する等、作品内容に日本人がかなり関わって来た形跡が窺えます(ワーナー映画と東宝という関係からもこれは画期的な事かも知れません・もっとも最近の東宝スタジオリニューアルではワーナーが積極的に協力していたそうですが)。
中でも最も話題になったのはゴジラそのものの容姿であり、かつてのエメリッヒ版ゴジラが不評だっただけに、日本人としてはその見慣れた風体に安心した人も多かった筈。
興行的にも世界中で大ヒットしており、日本でも既に興行収入30億円を突破しました。
ワーナーブラザースは2018年の続編公開を発表しており、当分このシリーズ化は続きそうです。

さて、この映画を観ての私の感想ですが、良い意味でも悪い意味でも「アメリカ映画だったなあ」という想いです(監督はイギリス人だそうですが)。
勿論、アメリカ映画を観に行っているのでそれは当たり前の話なんですが、日本製ゴジラのテイストが留めているその容姿すら、やはり生物としてのリアリティを追求するとあの様に生々しくなってしまい、特にCG特有の質感が鼻に付くのは仕方の無い事なのかも知れないと諦めてはいます(迫力は凄いですよ!)。
正直、初期の昭和ゴジラとは全く無縁の映画であり、タイトルこそ「GODZILLA ゴジラ」ですが、これは間違いなく「VS物」であります。
謎の昆虫型巨大怪獣「ムートー」との地球生態系を賭けた戦いが今回のゴジラの存在理由であり、その意味では金子修介氏が指摘する通り平成ガメラ三部作の再現であり、特にムートーが子孫を残す為に暴れ回る終盤はエメリッヒ版ゴジラの焼き直しを観ている様でもありました。

不評だったエメリッヒ版ゴジラ。
興行的には大ヒットしたものの、その怪獣離れした容姿と俊敏性と虚弱性(ミサイルを受けると死んでしまう)の為、世間的にはゴジラとは認められていない不運のモンスター。
しかし一度「ゴジラ」というタイトルを忘れて観て見ると、これはこれで非常に良く出来た怪獣映画だと思います(特にジャン・レノ演じるキャラクターが好きでした)。
むしろ「ゴジラ」というブランドに拘り過ぎ、それを切り捨てる事が出来なかった映画会社の戦略的失敗と、エメリッヒ・サイドの野心的な構想が裏目に出てしまった事が悔やまれます。
公開直後にはまだ生きていた二作目以降の企画も、地球の生態系を巡るSF的な展開となっており、多分今作の続編もそれに近い展開がされる事でしょう。

その容姿と共に怪獣としての性格も、より日本的になった今回のゴジラ。
戦車砲やミサイルといった通常兵器では全く歯が立たず、どうやら核兵器でさえ無力らしいというその設定。
それどころか人間の存在を全く意に介さず、ひたすら宿敵を追い戦い続け、目的を果たすと海中へ去って行く。
日本の怪獣映画がそうであるように、これは一種のデザスター映画の様でした。
また、怪獣の存在しない世界に突然現出する非日常を描くという意味では、1作目のゴジラや平成ガメラの成功を踏襲しており、84年版ゴジラの様な消化不良を感じる事もありません。
前半の原発事故~立入禁止地区の描写はまさに東日本大震災と福島原発事故をモチーフにしたと思われ、ハワイの津波シーンなどは映画で見慣れたビルを押し流す勢いの怒涛の滝落としではなく、ニュース映像等で観た「海が押し寄せて来る」リアルな描写で、やはりこれは災害映画だったのかも知れません。

主演はイギリス出身のアーロン・テイラー=ジョンソン。
「キックアス」でのオタク高校生役がウソの様に、逞しい海軍士官を演じています(海軍と言うより海兵隊のようでしたが)。
渡辺謙はゴジラとムートーを追う科学者役。
エメリッヒ版ゴジラでは高倉健氏が渡米しスクリーンテストまで行いましたが結局は出演せず、今回は晴れて日本人俳優のメインキャスト参加となりました。

私達が見慣れた昭和ゴジラ。
関沢新一脚本による現実世界と怪獣の存在が交差する世界観。
円谷英二によるダイナミックかつ精密なミニチュア特撮。
伊福部昭の重厚な、佐藤勝の軽妙な音楽。
本多猪四郎のケレン味溢れる、福田純の軽快な演出。
平田昭彦・田崎潤・藤田進・佐原健二・田島義文・大村千吉といった、その人達が出ているだけで特撮映画なのではないかと勘違いするくらいインパクトのあったキャスト陣。
そして特撮映画のツボを知り尽くした田中友幸の製作術。
これらの伝統を引き継ぐ正当東宝ゴジラは、果たしていつ復活するのでしょうか?


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【2014/08/23 21:21】 | 映画
【タグ】 GODZILLA  ゴジラ  
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