アナログ人間の独り言~阪神タイガース・映画・サブカルチャー・旅行等々
日本アニメーションの本橋氏といいビッグネームの突然の訃報が続き、何となく一つの時代の終焉を感じます。

もともと音楽関係の仕事をされていたようですが、どういう経緯で虫プロに入り、どのような形で若くして頭角を現してプロデューサーとなったのか、良く判りません。
ただ非常に個性が強く、人を引っ張って行く事の出来る方だったであろうという事は、「ヤマト」以降の言動を観ても想像出来ます。

「ワンサくん」「海のトリトン」は世間で騒がれたほど面白いとは思いませんでした。
しかし各作品の音楽センスは素晴らしかった。本当に音楽に対して理解のあるプロデューサーでないと、あのような作品は出来なかったでしょう。

宇宙戦艦ヤマト」はその原作者としての扱いについて松本零士との間で裁判沙汰になり、結局は和解されたようですが、視聴者である我々からすればそんな事はどうでもいい事でした。
日本海軍の伝統を持つ「地球防衛軍」、戦士としての誇りを懸けた男のドラマ、大小のメーターが配置されたメカニックに一升瓶、秀逸なデザインの航空機に反してその第二次大戦的な運用の描写…それらは明らかに松本零士世界の産物でしょう。
しかし大宇宙をバックに流れる壮大な音楽、「日本沈没」に始まる終末観の漂う世相を背景にした作品設定…舛田利雄・宮川奏・豊田有恒といった人材をはじめ、アニメーターも当時の最高峰と言える人々をかき集めて作品を纏め上げたのは、他ならぬ西崎氏だったに違いありません。
最終的に作品に対して責任を持つのがプロデューサーだと言うのなら、「宇宙戦艦ヤマト」は間違いなく西崎氏の作品だったと言う事になります。

初めて「ヤマト」を観た時の衝撃は今でも覚えています。
翌週から私は、「猿の軍団」も「ハイジ」も観るのを止めました。

戦中派の父が初めて視聴したのがドメル艦隊との決戦でした。
機動部隊から出撃した艦載機が、続々と戦艦ヤマトを空襲して行く。登場するメカがそれぞれの特色を活かして活躍する様も素晴らしければ、それを覆す為の知略も見事。
意を決した敵将が艦底部にしがみ付き、そこで初めて指揮官同士が交信する。
敵軍の武勇を称え、相見えた事を誇り、それぞれの祖国に礼を尽くした上で自爆を遂げる。
この回はエンディングにオープニングが流れていました。
次の日曜日、父は朝から「ヤマト」の話ばかりしていました。
「マンガでこれ程大人を楽しませるものは初めてだ…」

再放送の度に人気は上がり、映画化と共に「ヤマト」は迷走を始めます。
ガミラス戦争の僅か1年後を描いた映画2作目。その設定の甘さはともかく、衝撃的なラストは「ヤマト」人気に決定的な衝撃を与えてしまいます。
本来は完結編として制作されたであろうこの作品でしたが、「ヤマト」人気はシリーズの終焉を許さなかったのです。
西崎氏も本当は次のステップのはずの作品を考えていたはずですが、結局はテレビシリーズの2作目でヤマトを終わらせる事は出来ませんでした。
そこからいわゆる「ヤマト」の苦難の旅が始まったのです。

それは西崎氏にとっても苦難の旅だった事でしょう。
「ブルーノア」は結局「ヤマト」を超える事は出来ず、「青い鳥」も然程話題になる事はありませんでした。
「ヤマト」シリーズは何度もテレビシリーズと劇場版が作られましたが、作る度に傷口が広がっていくような雰囲気で、「完結編」に至っては全く何をやっているのか判らない、作り手側だけの自己満足のような作品になってしまいました(ある意味「完結編」のいつ終わるか判らない得体の知れない尺の長さは特筆すべきだと思いますが…)。

近年は著作権を巡って裁判を繰り返し、「ヤマト」の新作にトライしては失敗、挙句の果ては薬物の不法所持で逮捕…。
アニメ史上に名を残す大プロデューサーの、あまりにも残念な末路でした。

私はいろんな意味で西崎氏と角川春樹氏のイメージが重なってなりません。
そのカリスマ的な人格と作品製作に対するスタンス、特異な言動、映画界の革命児と言われた青年実業家…。
角川氏はヒトラーの崇拝者という事ですが、西崎氏も「ヤマト」の後期シリーズではデスラーをヒーロー化して描いています。
そして麻薬による逮捕…。
ただ、角川氏は現在でも映画・出版界で多彩な活動を続けていますが、西崎氏は「ヤマト」に振り回され続けた晩年だったように思えます。

ご冥福を祈ります。
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【2010/11/08 22:19】 | アニメ
【タグ】 宇宙戦艦ヤマト  西崎義展  
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