アナログ人間の独り言~阪神タイガース・映画・サブカルチャー・旅行等々
先日、チャンネルNECOで平成ガメラ3部作の一挙放送があり、久し振りに見てみました。
今見ても実に良く出来ていて、本当に面白い映画です。

1作目は1995年公開。
実際の撮影はその前年でしょうけど、当時は阪神大震災の直後で、あまりにリアルな都市破壊の描写に公開が遅れたとかいう噂も飛んだほどでした。
この映画、公開前から評判が高く、某玩具メーカーの試写会へ行った仕事関係の人の話でも、「ゴジラよりずっと面白かった」との事。
新聞に載った広告は大作ロードショーの半分ほどの大きさしかありませんでしたが、あの夕陽をバックに折れた東京タワーに営巣するギャオスのシルエットが印象的な画像がベースの、実に雰囲気のある広告で、これはちょっと違う怪獣映画だぞと大いに期待したものです。

私はその頃結婚して神戸在住、被災はしましたが身内に怪我人も無く、家も大した被害も無くて済みました。
まだ震災の痕が生々しい街の中で、しかしせめて震災後最初に観る映画はこの地元で観たいと思い、今はもう無くなりましたが「西灘劇場」という小さな劇場でロードショー公開を観る事が出来ました。
その劇場は2つのスクリーンがあり、隣では成人映画を上映していました。
スクリーンはあまり大きくなく、音響も最悪。それでも普段は怪獣映画なんか観ようとはしない嫁さんが、文句も言わずに最後まで付き合ってくれたのは、やはりこの作品が映画として面白かったからだと思います。
映画は核廃棄物輸送船の座礁に始まり、孤島で発見された新種の鳥を巡る騒動から、やがて福岡市を破壊する怪獣と怪獣の対決まで一気に見せます。
旧作「ガメラ対ギャオス」のポイントを微妙に散りばめて、これは中々マニアックな作りであると感心させられた反面、その薀蓄が妙に気になる作品でもありました。

そう、これは怪獣映画ファンが自分達の作りたい映画を作った、そんな作品だったのです。
かつての東宝・大映の特撮映画を作った人達は、少なくてもそれ以上に一般の「大人」の映画を作り続けて来た「大人」達でした。
ですから、今から観るとSF映画として「?」的な部分は多々あるのですが、画作り・作劇術は堂々たる物が多く、今でも傑作と呼ばれる作品はそのバランスが絶妙で、「映画」として良く出来ているものです。
一方、この新作の主要スタッフの大部分は、そういった怪獣映画の影響やアニメブームの洗礼も受け、また様々なメディアの中にあって、かつての特撮映画が抱えていた矛盾と辿って行った末路を知り尽くしていた為、非常に芸の細かい作品を作る事になったのでしょう。
初期のスピルバーグ作品が、当時の関係者から観るとこんな感じだったのかも知れません。私も見ていてかなり小賢しい印象を受けました。
にも関わらず、この映画は同時期公開されていた「ゴジラ」シリーズより遥かに面白かったのも事実です。
話も画も非常に丁寧に作られており、スタッフの意気込みが伝わってくる作品でありました。

1作目がビデオやLDの売り上げも込みで何とか黒字になり、それ以上に作品に対する評価が高く、「ガメラ」の知名度も十分に上がった為、2作目は意外と早く制作が決定しました。
当時はジェームス・キャメロンの新作と同じくらい、この2作目は期待を持って迎えられました。
そしてその内容は、アクション・特撮・話のスケール、どれをとっても前作を上回る迫力のあるものでした。
しかし、今回は前作の成功を受けての制作の為、随分スタッフの好きなように作品を作った感があります。
話の展開上仕方が無いものの、嫌味なほどミリタリーが前面に押し出され、宇宙怪獣の生態も理屈が先行し、残念ながらギャオス程のインパクトは受けませんでした。1作目の成功はあのギャオスのシンプルな怖さに負う所が大きかったと思うのですが、如何でしょうか?

2作目は前作以上にヒットしたにも関わらず、大映本社の期待値が高すぎた為、続編制作の決定はなかなか為されませんでした。
この間、監督・脚本・特撮等、主要スタッフの間では相当構想の練り直しがあったようです。
最初、私が「ガメラ3」の企画の存在を知ったのは、キネマ旬報の記事からでした。
その記事では既にギャオスの大量発生、新種の登場、舞台は渋谷と京都になることが公になっていましたから、もう撮影に入る直前だったのでしょう。
正直2作目が期待を上回る出来ではなく、思った通りの方向性の思った通りの展開で、大きな意外性も無い作品だった事から、然程気になることも無かったのですが、最初から3部作とされていた事、2作目から相当時間が経っている事などから、ひょっとしたら新しい何かを見せてくれるかもという思いもありました。

3作目は会社の同僚達と観に行きましたが、今でも観終わった後に受けたショックでしばらく呆然としていた自分を思い出せます。
特撮は、恐らくミニチュアワークとしては最後の、そして最高のクオリティを誇る作品でしょう。
CG全盛の今、何でもかんでもCGで表現して非常に安っぽい映像が溢れているこの頃ですが、この作品ではミニチュアワークとCGのバランスが非常に良く、効果的に使われています。
話も台詞で世界規模の危機を煽り立てる、実に上手いやり方で、実は低予算ながらスケールの大きな世界観を実現しています。
そして一気に、どうしようもない終末になだれ込んで行くラスト。
当時は風呂敷を広げるだけ広げて、あれは無いだろうと言われもしましたが、大人の知的想像を掻き立てる、最高の終焉だと私は思います。

さて、当時パンフレットやエンドクレジットを見て、気になった事がありました。
それは特撮スタッフの中に東映系の特撮研究所のメンバーがいるばかりか、主要セクションとして特撮研究所そのものがクレジットされていたのです。
私達の世代にとって特撮研究所という会社は、東映の子会社であり、戦隊・メタルヒーローといったTVシリーズの特撮がその主な活躍場所で、言ってみればワンパターンで年に1度しか新しい特撮が撮れない会社、松竹のような特撮部門の無い製作会社から特撮を請け負う会社程度の認識しかありませんでした。私達にとっては特撮の王道は東宝であり、円谷プロしかなかったのです。
確かに戦隊物でのシリーズ終盤における特撮のグレードアップ、CGの質の向上はここ数年気にはなっていました。
しかしこのような本格的な怪獣映画で、しかも同様に参加している東宝映像美術よりも扱いが大きく、大々的に取り組んでいるのは正直意外でした。
確かに出来上がった画も、前2作が大きなセットを組んだのに対して決して広いスタジオで撮影した様子は無く、なるほど特撮研究所向きの画だなと思わせるものではありましたが…。

それから10年、邦画特撮はその勢力範囲をすっかり変容させてしまいました。
「ゴジラ」という活動の場を失った東宝特撮は、本来手がけるべきであった新作「日本沈没」の特撮も特撮研究所に任せることになり、そればかりか東宝系で公開される大作の特撮はことごとく特撮研究所と白組ばかり。
あの大プールも消え失せた今、東宝特撮が再びかつての輝きを放つ日が来る事はあるのでしょうか?小作で東宝特撮は健在との話も聞きますが、いつか大ミニチュアセットでの怪獣対決、プールに浮かぶ大戦艦を新しい作品で観る事は出来るのでしょうか?
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映画は核廃棄物輸送船の座礁に始まり、孤島で発見された新種の鳥を巡る騒動から、やがて福岡市を破壊する怪獣と怪獣の対決まで一気に見せます。
旧作「ガメラ対ギャオス」のポイントを微妙に散りばめて、これは中々マニアックな作りであると感心させられた反面、その薀蓄が妙に気になる作品でもありました。

そう、これは怪獣映画ファンが自分達の作りたい映画を作った、そんな作品だったのです。
かつての東宝・大映の特撮映画を作った人達は、少なくてもそれ以上に一般の「大人」の映画を作り続けて来た「大人」達でした。
ですから、今から観るとSF映画として「?」的な部分は多々あるのですが、画作り・作劇術は堂々たる物が多く、今でも傑作と呼ばれる作品はそのバランスが絶妙で、「映画」として良く出来ているものです。
一方、この新作の主要スタッフの大部分は、そういった怪獣映画の影響やアニメブームの洗礼も受け、また様々なメディアの中にあって、かつての特撮映画が抱えていた矛盾と辿って行った末路を知り尽くしていた為、非常に芸の細かい作品を作る事になったのでしょう。
初期のスピルバーグ作品が、当時の関係者から観るとこんな感じだったのかも知れません。私も見ていてかなり小賢しい印象を受けました。
にも関わらず、この映画は同時期公開されていた「ゴジラ」シリーズより遥かに面白かったのも事実です。
話も画も非常に丁寧に作られており、スタッフの意気込みが伝わってくる作品でありました。

1作目がビデオやLDの売り上げも込みで何とか黒字になり、それ以上に作品に対する評価が高く、「ガメラ」の知名度も十分に上がった為、2作目は意外と早く制作が決定しました。
当時はジェームス・キャメロンの新作と同じくらい、この2作目は期待を持って迎えられました。
そしてその内容は、アクション・特撮・話のスケール、どれをとっても前作を上回る迫力のあるものでした。
しかし、今回は前作の成功を受けての制作の為、随分スタッフの好きなように作品を作った感があります。
話の展開上仕方が無いものの、嫌味なほどミリタリーが前面に押し出され、宇宙怪獣の生態も理屈が先行し、残念ながらギャオス程のインパクトは受けませんでした。1作目の成功はあのギャオスのシンプルな怖さに負う所が大きかったと思うのですが、如何でしょうか?

2作目は前作以上にヒットしたにも関わらず、大映本社の期待値が高すぎた為、続編制作の決定はなかなか為されませんでした。
この間、監督・脚本・特撮等、主要スタッフの間では相当構想の練り直しがあったようです。
最初、私が「ガメラ3」の企画の存在を知ったのは、キネマ旬報の記事からでした。
その記事では既にギャオスの大量発生、新種の登場、舞台は渋谷と京都になることが公になっていましたから、もう撮影に入る直前だったのでしょう。
正直2作目が期待を上回る出来ではなく、思った通りの方向性の思った通りの展開で、大きな意外性も無い作品だった事から、然程気になることも無かったのですが、最初から3部作とされていた事、2作目から相当時間が経っている事などから、ひょっとしたら新しい何かを見せてくれるかもという思いもありました。

3作目は会社の同僚達と観に行きましたが、今でも観終わった後に受けたショックでしばらく呆然としていた自分を思い出せます。
特撮は、恐らくミニチュアワークとしては最後の、そして最高のクオリティを誇る作品でしょう。
CG全盛の今、何でもかんでもCGで表現して非常に安っぽい映像が溢れているこの頃ですが、この作品ではミニチュアワークとCGのバランスが非常に良く、効果的に使われています。
話も台詞で世界規模の危機を煽り立てる、実に上手いやり方で、実は低予算ながらスケールの大きな世界観を実現しています。
そして一気に、どうしようもない終末になだれ込んで行くラスト。
当時は風呂敷を広げるだけ広げて、あれは無いだろうと言われもしましたが、大人の知的想像を掻き立てる、最高の終焉だと私は思います。

さて、当時パンフレットやエンドクレジットを見て、気になった事がありました。
それは特撮スタッフの中に東映系の特撮研究所のメンバーがいるばかりか、主要セクションとして特撮研究所そのものがクレジットされていたのです。
私達の世代にとって特撮研究所という会社は、東映の子会社であり、戦隊・メタルヒーローといったTVシリーズの特撮がその主な活躍場所で、言ってみればワンパターンで年に1度しか新しい特撮が撮れない会社、松竹のような特撮部門の無い製作会社から特撮を請け負う会社程度の認識しかありませんでした。私達にとっては特撮の王道は東宝であり、円谷プロしかなかったのです。
確かに戦隊物でのシリーズ終盤における特撮のグレードアップ、CGの質の向上はここ数年気にはなっていました。
しかしこのような本格的な怪獣映画で、しかも同様に参加している東宝映像美術よりも扱いが大きく、大々的に取り組んでいるのは正直意外でした。
確かに出来上がった画も、前2作が大きなセットを組んだのに対して決して広いスタジオで撮影した様子は無く、なるほど特撮研究所向きの画だなと思わせるものではありましたが…。

それから10年、邦画特撮はその勢力範囲をすっかり変容させてしまいました。
「ゴジラ」という活動の場を失った東宝特撮は、本来手がけるべきであった新作「日本沈没」の特撮も特撮研究所に任せることになり、そればかりか東宝系で公開される大作の特撮はことごとく特撮研究所と白組ばかり。
あの大プールも消え失せた今、東宝特撮が再びかつての輝きを放つ日が来る事はあるのでしょうか?小作で東宝特撮は健在との話も聞きますが、いつか大ミニチュアセットでの怪獣対決、プールに浮かぶ大戦艦を新しい作品で観る事は出来るのでしょうか?
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【2009/10/14 02:19】 | 映画
【タグ】 平成ガメラ3部作  東宝特撮  特撮研究所  
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 本項では、'95~'99に公開された所謂「平成ガメラ三部作」に言及された記事を、まとめてお伝えしております。 前回の「金子版視聴記 /10/10」はこちら。 関連で、「チャンネルNECO視聴記 /10/13」にはこちらから。  平成三部作レビュー: 『 。゚*18年モノ*゚。 』...
2009/10/16(Fri) 18:01:16 |  ガメラ医師のBlog